ラブレターと死なない情報
君が書くラブレター
君には好きな子がいる。意を決してラブレターを書くことにした。本当は手紙を出したいんだけど、いまどき住所はわからないし、幸運にも手に入ったLINEのアカウント宛に送ることにした。さて、ドッキドキだ。 言葉を一つひとつ選んで、固すぎず、馴れ馴れしすぎず。なおかつオリジナリティも出したいから大変だ。
ふと、ここで君の脳裏に一抹の不安がよぎる。「これ、誰かに見られたらどうしよう……」 昔は良かった。紙に書いて渡せば、その子が直接誰かに見せない限り君の渾身の作品が第三者に嘲笑されることはないのだから。 しかし今は、君のラブレターは彼女のLINEに残る。スマホはいつでも持ち歩くし、毎日LINEは使われるものだ。
彼女は優しい子だ。
だけど、例えば将来的に喧嘩別れでもしたら、君の気持ちはどこかでお笑い種になってしまうかもしれない。(まあ、うまく付き合えたらの話だけど。)
そんな考えが頭を巡ってしまって、結局君は無難な表現に寄せる努力をする。頭を絞って三時間、君の作った最高傑作はまさしく暗号。 冷静になって意味不明なラブレターを読み返す君、そしてこう思うんだ。 「あぁ、昔だったらストレートに気持ちを伝えらるのになぁ!」
情報化社会が奪い去ったもの
情報化社会が奪い去ったもの、それは素直にドキドキできるコミュニケーションだ。若い世代では、コミュニケーションの半分くらいはインターネット上で行われていると思う。いままでのコミュニケーションはその場限りのものだった。それが今ではみんなが会話のログを持ち歩いている。一歩間違えば君はそのログでもって社会的に抹殺されるだろう。それでは怖くて心を許した自由な表現などできっこない。
僕の感じる息苦しさはそこにある。友達や恋人同士のコミュニケーションはいつだって、心を開いて行われる権利がある。僕はみんながインターネット上でも素直にドキドキできる世界を作りたいんだ!
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